Microchipの開発環境には、MPLAB X IDEとMicrochipStudioの2つがあります。
その違いは何か比較をしてみました。どちらを使おうか考えている方は参考にしてください。
結論
最初に結論ですが、2021年現在においては、
- 旧Atmel製品(AVR,SAM)を使うならMicrochipStudio
- PICなどの元来のMicrochip製品を使うならばMPLAB X IDE
と考えておけば問題は無いです。
ただし、MPLAB X IDEでの旧Atmel製品の対応が進んできています。今後の流れとしては、Ateml製品の過去資産を流用しない限りはMPLAB X IDEで問題ないという事になっていくと思います。
概要
MPLAB X IDE
Microchipの従来の開発環境をアップデートしてきたものになります。こちらが本家本元、Microchipの開発環境ということになります。
MicrochipStudio
MicrochipStudioは旧名AtmelStudioというツールになります。名前の通り、2016年にMicrochipに買収されたAtmel社のデバイス用開発環境となります。
ターゲットデバイス
MPLAB X IDE
(旧Atmel製ではない)Microchipデバイスは基本的にすべて対応しています。また、Ver5.05以降において旧Atmel製品のデバイスサポートも始まっています。ATmega328Pのようなメジャーどころはだいたい開発できるようになっています。
対応デバイスについての詳細は、下記リンクの ”Documentation” → ”MPLAB X IDE Device Support List”から確認が出来ます。
MicrochipStudio
旧Atmel製デバイスを一通り対応しています。逆に、などの元来のMicrochip製品についての対応はありません。
MPLAB X IDEでまだサポートしていない旧Atmel製品はこちらを使うしか選択肢はありません。
MicrochipStudioのMicrochip社Webサイト
費用
どちらのツールも無償で機能制限無く使用が可能です。
気になるなら、お試しで両方ともインストールして試してみても良いかもしれません。
ただし、Microchip製品のコンパイラ(XC8,16,32)には有償版と無償版があります。コード最適化を行うには有償版の購入が必要なのでその点は留意してください。
機能・使いやすさ
基本的な統合開発環境としての機能はどちらも持っているので、機能面では遜色無いかと思います。(当然と言えば当然ですが、、)
開発画面の感じや、最初のとっつきやすさの印象は、MicrochipStudioの方が良く感じるのではないでしょうか。MicrochipStudioはVisualStudioのUIをベースにしているので、お馴染みのUIといった感じですぐに使いこなせるかもしれません。MPLAB X IDEは独自のUIなので、最初はとっつきにくく感じるかもしれませんね。
最近のマイコン開発環境には必須のコード生成/初期設定関係も、どちらもGUIで行えます。ただし、MPLAB_X_IDEのコード生成(MCC)で生成されたコードでバグに遭遇したことが2回あります。
開発環境が自動生成してくれたコードって、絶大の信頼をおいて開発を進めたいです。この手のバグは見つけるまで苦労するので非常に残念です。
将来性
流石にMPLAB X IDEの方に将来性があると思います。
MPLAB X IDEがAtmel製品のサポートをし始めているので、いずれはMPLAB X IDE 一本に開発環境を統合するのではないでしょうか。そもそも、MicrochipがいつまでAVRマイコンの新製品を発表していくのかという話もあります。
とは言え、AVRマイコンも(Arduinoなどもあって)まだまだ健在です。根強い愛用者も多くいますので。すぐにAtmel製品とMicrochipStudioが廃止されるということは無いと思います。MPLAB X IDEへの統合は、非常に緩やかに進んでいくのではないでしょうか。
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