ルネサス開発環境 e2studio、CS+その違いを比較

CS+ e2studio 比較ソフト

ルネサスには純正の開発環境がe2studioとCS+の2つがあり、初めてルネサスマイコンを使う開発者はどちらを使えば良いのか悩みます。

5年以上、両方を使ってきた私がこの2つを比較してみました。

こんな方におすすめの記事
  • 初めてルネサス製マイコンで開発される方
  • 今の開発環境からの移行を考えている方

概要

CS+開発画面
CS+開発画面

統合開発環境 CS+ | Renesas

CS+は旧NECの開発環境をアップデートし続けてきたもので、全てルネサス製の開発環境となります。昔からルネサスマイコンを使って来た方には馴染みのある開発環境です。

e2studio 開発画面
e2studio 開発画面

統合開発環境 e² studio | Renesas

e2studioはEclipseというオープンソースの開発環境がベースとなっていて、そこにルネサスマイコン用の機能をプラグインした格好になります。もともとは海外ユーザーの為に作られたものが逆輸入されたものです。

開発可能なマイコン

なにはともあれ、開発可能なマイコンを比較してみましょう。

開発可能なマイコンe2studioCS+
RX
RL78
RH850
78K
V850
RA×
RE×
RZ×
デバイスの対応表

CS+はRA、RE、RZといったARM系マイコンに対応していません。

この辺りのデバイスを使うならば選択肢はありません。e2studioを使うことになります。

費用

e2studio:

全機能を無償で使えます。コンパイラにGCCを選択すれば完全無料。


CS+:

純正コンパイラパッケージに含まれている製品となり、有償です。

製品グレードやターゲットデバイスで費用は変わりますが、ラインナップは数万円程度からあるようです。

短期間の無償評価版がリリースされていますが、期間を過ぎるとプログラムサイズ制限や一部機能が使えなくなります。

※無償評価版は製品設計への使用不可と明記されています。ご注意ください。


なお、e2studioでも純正コンパイラを使ってビルド出来ますので、”純正コンパイラ使うからCS+”という必要は無いです。

費用抑えるならgccで開発出来るe2studioを選択。純正コンパイラを使うなら、使いやすさで選ぶことが出来るといったところでしょうか。

機能・使いやすさ

CS+の方が画面構成も機能もシンプルなのでとっつき易いと思います。慣れて来ればどちらもストレス無く使用できるレベルではありますが。

なお、e2studioはEclipseをベースなので基本的な画面構成や機能はEclipseそのままです。Eclipseを使ったことある方だと、e2studioの方が違和感無く使い始めることが出来ます。

STM32シリーズの開発環境であるSTM32CubeIDEがEclipseベースです。STM32で開発経験のある方は、e2studioの方が違和感なく使い始められると思います。

その他、機能面で気になってくるものにコード生成機能がありますが、こちらはどちらのツールでも同等のUIと生成コードになります。ツールを移行しても生成されたコードの使い方を調べなおす必要はありません。

エディタ性能

完全にe2studioに軍配が上がります。補完入力や関数/変数の概要表示などの機能がe2studioの方が優れています。ベースとしているEclipseのおかげですね。

ただ、VScodeなどと比べるとどちらも見劣りするのは否めません。いろいろ頑張って設定すれば遜色ないところまで行くのかも知れませんが、そんな事するよりも使いなれたエディタを使った方が早いです。

長時間、集中してコーディングする場合は、お好みのエディタ立ち上げるのが一番です。

サポート

CS+の製品版を購入すれば、ルネサスや代理店の方からのサポートが手厚く受けられます。

e2studioの場合、自力でググってなんとかすることになりがちです。

ツールの使い方で躓くなんて時間がもったいないと感じる人はCS+が良いと思います。

e2studioの機能や使い方を検索する場合、キーワードは”e2studio”だけではなく”Eclipse”でも検索しまてみしょう。

e2studio用にプラグインされた機能でなければ、その方が情報が豊富に出てきます。

将来性

完全に主観ですが、開発環境としてはe2studioがメインになっていくのではないかと思います。

CS+は純正コンパイラの”おまけ”として機能追加があまりされないまま放置されるのではないかと。

e2studioだけで、FreeRTOSやIOTといった”今どきの”機能をサポートしてきていますし。

ちなみに、ルネサスのWEBサイトで開発環境の事を調べると、必ずe2studio,CS+の順で記載されています。

“e”2studio”、”C”S+なのに、、

CS+は有償で売り上げになるのに、、

こういうところに本音が出るものかなと思います。

まとめ

RA、RE、RZといったARM系マイコンの場合は選択肢がありません。e2studioになります。

Eclipse使用経験(STM32とか)のある方、開発環境に費用をかけたく無い方は素直にe2studioで良いです。CS+ってどうなんだろうと悩むだけ無駄。e2studioで開発始めましょう。

どちらにしようか悩んでいる方は、とりあえずe2studioをインストールして使い始めてはどうかと思います。どうしても使いにくいと感じるようならばCS+を試してみましょう。最初からCS+を試す理由はあまり無いように感じます。CS+は昔からルネサス(旧NEC)開発環境を使い慣れている方のための開発環境なのではないでしょうか。

私の状況はCS+からe2studioに移行中という感じです。新規プロジェクトに関してはe2studioを採用しており、CS+は既存プロジェクトの更新や派生に関してのみ使用しています。

どちらを使うか決めた方は、下の記事を参考にして環境構築してみてください。

RAシリーズのマイコンを採用される方には、こちらの記事がおススメです。

環境構築後、RL78で開発をされる方にはこちらの記事がおススメです。

コメント