FPC・FFCのピン配列間違いは本当によくある失敗です。
私にも失敗経験がありますし、ヒヤリとした回数は数え切れません。
私の経験も踏まえ、FPC・FFCを使った基板間接続で間違えやすいポイントと対策方法を紹介します。
ありがちなマズいやり取り
2つの基板間をFFCで接続することとなったハード設計者間のこんなやり取り
FFCは同一面に接触点のあるものにしましょう
承知しました。
FFCコネクタはこの上面接触に統一しましょう
承知しました。
コネクタのピン配列は1ピンからこうしましょう
OKでーす。
はい、これで設計ミスです。確認せずに接続して電源入れたら、最悪FFCが焦げます。
上のやり取りでは、下図のように1ピンと33ピンが誤結線されるような状況になります。
この場合、以下の3点のいずれかの対応をするべきでした。
- FFC・FPCを接触面が逆の物にする
- 片方の基板で下面接触コネクタを使用する
- コネクタのピン配列を基板間で逆にする
FPC・FFC接続の注意点
FPC・FFCを用いた基板間接触で確認すべき注意点は大きく4点あります。すべての項目をしっかり確認することが重要です。
コネクタの接触面
コネクタには、FPCと接触する端子が上面についているものと下面についているものの2種類あります。間違えると信号が未接触になってしまいます。
コネクタのデータシートをよく確認して、上下どちらが接触面なのか把握しておきましょう。
FFC・FPCの接触面
FFC・FPCには、コネクタとの接触面が片側に揃っているものと、入れ違いになっているものの2通りがあります。基本的には片側に揃っているものの方が安価で、採用されやすいです。
しかし、片面と思い込んで確認を怠った先に、”何故か入れ違い端子品が採用されていた”という落とし穴があるものです。
ピン配列
コネクタのピン配列については、ピン番号だけではなく信号名でも確認をしていきましょう。また、コネクタのどこが1ピンなのかという確認も必要です。
私の経験上、ここをしっかり確認しない担当者が多い印象があります。
担当者間の意思疎通
接続先の基板設計担当者は、他の誰かになる事が多いと思います。その方との意志疎通をしっかり行いましょう。
同じ会社内のメンバーならばまだいいですが、他社との共同開発の場合は設計上のルールや手順が違っていることが普通です。
自分(自社)の常識が普遍的なものだと思うことは危険です。
間違えない為にやること
FPC・FFC接続で間違えない為には下記の3点、実施をすると良いです。
まず頭に入れておくべきこと
まずは下記内容をしっかり頭に入れておきましょう。
- FFC・FPCで同一面が接触点のものを選定し、
- コネクタで同じ接触面のものを選定し、
- ピン配列を基板間で統一すると、
信号の接続が逆になってしまう。
これを覚えておくだけで、かなりミスが減ると思います。この状況から、いずれかの1項目を変えれば問題の無い設計になるという事ですから。
各注意点の状況確認
前項を頭に入れたら、各注意点がどうなっているのか確認していきます。
- FFCの接触面は同一面?逆面?
- コネクタは下面接触?上面接触? 接続先の基板も確認
- コネクタのピン配列はどうなっているのか?
3項目のコネクタのピン配列確認の注意点として、1ピンの信号名は何か?だけではなく、
- コネクタの1ピンはどこか?
- 1ピンの信号名は何か?
というところまで確認する必要があります。
会社によって、コネクタの1ピンをどこにするのか、ピン番号を付けるルールなどが異なっていることは良くあります。ピン番号はあっているのに信号名が違っていた、ということもありがちです。
接続先の基板設計担当者と認識合わせ
状況確認が出来たら、接続先の基板設計担当者とは必ず認識合わせをするべきです。
会社が違うと、コネクタの1ピンをどこにするのかみたいな、自分が当たり前と思っているルールと全然違うルールが運用されていることは結構よくあります。
担当者が経験不足だと、ここが間違えやすいポイントという認識すら無かったりします。
確認の際は、各基板の実装図を印刷したものと、下のような接触面と1ピンをメモ書きしたFFCモドキを用意します。製造前に模型を作って、実際に接続が間違っていないかを確認していきます。
ここまでやる?と思われる方もいるかも知れませんが、この段階でようやく接続先基板設計者と意思統一が出来た、ということは結構あります。
FPC・FFCのピン配列ミスは試作基板を前にして本当に悲しい気持ちになります。やりすぎなくらい確認するのが良いと思います。
まとめ
とにかくまずは下記を認識しておきましょう。
- FFC・FPCで同一面が接触点のものを選定し、
- コネクタで同じ接触面のものを選定し、
- ピン配列を基板間で統一すると、
信号の接続が逆になってしまう。
そのうえで、接続先の基板担当者としっかり連携して設計/確認することが重要です。
FPC・FFCのピン配列ミスは試作基板を前にして本当に悲しい気持ちになります。やりすぎなくらい確認するのが良いと思います。
その他のハード設計トラブル
ここで紹介したトラブル以外にも、私の経験したハード設計トラブルを紹介した記事があります。
これらの記事も、今後のハード設計に生かしてもらえたらうれしいです。
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